東京バッハ合唱団の楽団紹介
●東京バッハ合唱団
バッハ演奏の草分け合唱団(創立1962年)。日本語での上演を、半世紀以上にわたって続けています。原詞の要旨を活かしながら、歌いやすく、格調が高いと好評です。
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教会カンタータを中心に、モテット、オラトリオなどJ.S.バッハの合唱作品を研究し、ソリスト・オーケストラとともに演奏する団体として、1962年大村恵美子の呼びかけで発足。日本語訳詞(大村訳)での上演を原則とする。ライプツィヒ聖トマス教会(1983年、わが国の市民コーラスとして初公演)などドイツ各地での公演も行ってきた。2012年創立50周年を迎え、バッハ4大作品(マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、クリスマス・オラトリオ、ロ短調ミサ曲)の日本語連続演奏を行った(2011~2014年)。現在、第2の半世紀への歩みを始めたところ。
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●バッハ演奏、なぜ日本語か?
・私たちは、創設いらい半世紀にわたり、わが国におけるバッハ演奏のパイオニアとして、教会カンタータを中心に多様なジャンルのバッハ合唱曲を紹介しつづけていますが、国内の公演においては、われわれの母語である“日本語”による上演を原則としてきました。
・なぜ日本語か? それは私たちが日本語で考え、思い、感じているからです。言語の壁は、心のもっとも奥深いところでなされる芸術的共感をはばみます。訳詞演奏は、精神そのものである母語によってその壁を超えてみようとする一つの試みにほかなりません。
・欧米では、それぞれの受容国の言語に翻訳してのバッハ作品演奏が普及しています。当合唱団は、欧米諸国の多くの市民合唱団と同様の立場、すなわち、意味の把握が歌詞の発音または聴取と同時になされることをもって声楽作品の本来的な表現あるいは鑑賞と捉えています。
・バッハ音楽の精神的背景には、母語をとおして神と直接向き合おうとする、改革者ルターの思想が色濃く反映されています。またバッハにいたって西洋音楽は、個々のテクストの意味を形象化し、あるいはテクストの背後の理念や情調に音の形を与えることにより、ラテン語やドイツ語といった特定の言語の制約を超越するに至りました。
・ですからバッハ音楽の中にあっては、どの言語圏の人々も安心して自分たちの母語に身をゆだねることができるのです。東京バッハ合唱団の日本語による演奏が、バッハ音楽の普遍性の証しとなることを確信しています。
・2000年以降の公演では、ドイツの老舗ブライトコプフ社よりの底本提供を受けた日本語版楽譜に依拠することを原則としており、当出版譜による上演の普及を願っています(訳詞:大村恵美子、既刊:69曲・2016年現在)。