「mezzo-forte」体験レポート2 ~アンサンブルミニ講座編~

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「mezzo-forte」体験レポート2
~アンサンブルミニ講座編~
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コルグ × オケ専♪ 特別企画 アンサンブルミニ講座
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 ドイツ製ハンドメイドによるカーボン製弦楽器mezzo-forteでアンサンブルをしようという趣旨のアンサンブルミニ講座が4月8日(金)に開催された。場所は荻窪の閑静な住宅街の中、緑豊かな環境に囲まれた落ち着いた雰囲気のプライベートホール。平日の午後にもかかわらず、13人の弦楽器愛好家が集い、アンサンブルを楽しむことになった。講師には、故郷の福島県いわき市と東京を中心に様々な分野で活動している、バイオリニストの常光今日子さんをお迎えした。

mezzo-forteの楽器が勢ぞろい。まずは5弦バイオリンのミニレッスンから

 ホールに入ると、赤、白、青、黄色、オリーブ、黒と色とりどりのバイオリン、そしてビオラとチェロが並んでいる。これが今日のもうひとつの主役、mezzo-forte。丈夫で温度や湿度の影響を受けにくい素材であるカーボンを材料として、ユニークなデザインとカラーをまとった新しい弦楽器だ。5弦の楽器やピックアップ・マイク内蔵の楽器など様々なバリエーションがあるのも特徴で、この日も3本の5弦バイオリンが用意されていた。
この楽器はG線の下にさらに5度低いC線を備えており、大きさや形はバイオリンでありながらビオラと同じ音域が出せるもの。参加者はまずこの5弦バイオリンを体験し、慣れるためのミニレッスンを受けることになった。
2人ずつ前に出て、常光さんの指導のもと、C線を使った音階練習。最初のC-Gの音階は難なく弾けるが、移弦を伴う2オクターブの音階になると、普段とは違う楽器の感覚にちょっと戸惑い気味の人も多かった。弦と弦の間隔が狭いために、弓の角度に気を使う必要があるのだ。しかし徐々に慣れて、「C線がよく響きますね!」自分の楽器では出すことのできない豊かな低音に顔をほころばせる姿も見られた。また、mezzo-forteが採用しているファインチューン・ペグのおかげで、「チューニングが楽!」という声も聞かれた。
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想像以上に堂々とした、思い切りのいい演奏

 5弦バイオリンに慣れたところで、お待ちかねのアンサンブル開始。8人ずつ演奏して、残りの人たちは聴くことになった。最初の曲はバッハの《メヌエット》。これを通常の4弦バイオリン4人、5弦バイオリン2人、ビオラとチェロ1人ずつで演奏する。
ちなみにこの日は自分の楽器を持参することなく、すべて用意されたmezzo-forteの楽器で弾くことになっていた。4弦にするか5弦にするかの希望とともに、「黄色の楽器を弾いてみたい!」「私は白がいいかな」という選択肢もあるのが普段とは違うところ。
5弦バイオリン用の譜面はあらかじめ常光さんがビオラパートをト音記号に直して来てくださったものだが、普段見ないたくさんの下線の付いた低い音に「これファ? ああ、レだ。書いておかないと読めないかも」などという会話も。
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 中にはすでに顔見知りの人たちもいたが、ほとんどは初顔合わせによるアンサンブル。自己紹介を聞くと、バイオリンを始めて数年という方や、ブランクの後に復活したという方も意外と多かったが、お馴染みの曲ということもあってか、1度目から形になっている。指揮をしながら聴いていた常光さんが「もう少し三拍子を意識して」「最初はmfで、最後にメロディが戻って来るところは思い切ってfで弾いてみましょう」など手短に、しかしポイントを突いたアドバイスをすると、2度目はより表情豊かに、そしてよりスムーズに流れる演奏になった。
8人中ビオラとチェロが各1本という編成だが、5弦バイオリンがハーモニーに厚みを与えており、それにmezzo-forteの鳴りが良く発音が明瞭という音の特徴が加わって、想像以上に堂々とした、思い切りのいい演奏に感じた。
メンバーを交替して、再び《メヌエット》をアンサンブル。引き続き演奏する人は「今度は5弦が弾きたい!」「私は、ビオラを弾いてみようかな」と興味のある楽器を試していた。
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楽器にも慣れ、参加者が互いに打ち解けたことで、密度の高いアンサンブルに

 2曲目は《さくらさくら》。もともとはバイオリン3パートで弾けるアレンジで、それにビオラとチェロが加わるのだが、今回は5弦バイオリン2本で低音を補強。計8人でのアンサンブルとなった。やはり全体によく鳴っていて響きが豊か。張った音も出しやすそうだが、硬質感は一切感じられない。たった1本のチェロが全体をしっかりと支えられる、しっかりした鳴りも印象的だった。
最後は少しだけレベルを上げて、L.モーツァルト(アンゲラー作曲という説も)の《おもちゃの交響曲》より第1楽章。mezzo-forteの楽器にも慣れ、また参加者が互いに打ち解けたこともあってより伸び伸びとした、それでいて密度の高いアンサンブルを楽しむことができたのだった。
ここで終わりではないのがこの会の良いところ。アンサンブル講座につづいて、お楽しみの「ミニ懇親会」が用意されていた。参加者同士の交流が盛り上がる傍らで、まだ弾き足りない人が即席のアンサンブルを披露。それをBGMにしてのおしゃべりはまた格別のものだった。

アンサンブルミニ講座に参加した方たちの感想は?

■常光今日子さん(講師)
[mezzo-forteについて]
「今日演奏した曲は、音としてはmezzo-foreteの5弦バイオリンだけでもカバーできたのですが、チェロの方もいらっしゃったので、とても合奏に厚みが出ました。実際はバイオリン4人(3パート)に5弦バイオリンの2人と、ビオラとチェロを1人ずつという編成でしたが、通常編成の弦楽合奏と同じような感じで、違和感のない豊かな響きだったと思います。弾いている方も、聴いている方も、気持ち良い音楽を楽しむことができました」
「みなさん5弦バイオリンに慣れるのが早かったですね。最初に音階練習をしたときには、弦と弦の間隔が普段の楽器と違うので、弓の角度などコツをつかむまで不安があったと思いますが、曲を1曲2曲弾いているうちにすぐに慣れて扱えていたと思います。低い音でも深みのある音が出るのが印象的でした。5弦に限らずmezzo-forteの楽器は手に馴染みますし、鳴らしやすいので、最初の合奏から十分な音量が出ていました。私の木の楽器はこまめに調整をしても、湿気のせいで低音がこもってしまうことがあるので、そういう心配がなく音が出るのはカーボン製ならではの魅力だと思います。また、普通は初めて弾く楽器だと『これはどんな楽器かな』と考えながら弾かなければならないのですが、mezzo-forteはどの楽器でも意識せず同じように弾けるので、その分アンサンブルに集中できたのではないでしょうか」
「mezzo-forteチェロ、ビオラは今日初めて見ましたが、とても音に厚みがあって、発音が良いので明瞭な音が出しやすいと感じました。低弦に厚みがあるとアンサンブルの土台がしっかりするので弾いていて安心感がありますよね」

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[講習会について]
「こういう形の講習会はあまり経験がなくて、私も手探りでやったところはあるのですが、思った以上にみなさんが伸び伸びと弾いてくださったのでよかったです。とても暖かな雰囲気で、音楽が好きな方ばかりだったので雰囲気も温かく、私自身もとても楽しめました。アンサンブルに慣れていない方もいらっしゃる思いますが、1人で弾くよりも周りに影響されながら作っていくアンサンブルは、自分の能力を高めてくれるところがあります。何よりも、弦楽器アンサンブルはやっぱり楽しいなと思いました」

●Nさん
「mezzo-forteは弾きやすく、感触が良かったです。私が普段使っているバイオリンよりも良かった(笑)。よく、弦によって音色が変わる楽器がありますが、mezzo-forteはどの弦も同じような音色が出せるのがよかったですね。
こういう講習会は初めて体験しましたが、楽しかったです。丁寧にアンサンブル指導をしてくれるし、人数のちょうどいい規模だったと思います」
●Tさん
「カーボン製の楽器は話には聞いていて気になっていたのですが、まず発音が良いのにびっくりですね。音がパッと立ち上がりますので、鳴りが良いという印象につながります。バッハの無伴奏チェロ組曲第6番をこの5弦バイオリンで弾いたら面白いと思いました。あの曲はもともとビオラ・ダ・ポンポーサという5弦チェロ(通常のチェロの上にE線を加えたもの)のために書かれた曲で、ビオラで演奏すると高くて弾けないので、5度下げて演奏しています。でも5弦バイオリンならオリジナルの調で演奏できるので、ぜひ一度弾いてみたいです」
●Aさん
「5弦バイオリンに興味があって参加したのですが、楽譜を見た瞬間、加線の多さに「これは無理」と思って、つい4弦の楽器ばかり弾いていました(笑)。でも自分でビオラの音域が弾けたらいいなと思っていましたし、友人とちょっとアンサンブルをしようというときに、5弦の楽器があったらいいかなと思います。mezzo-forteはカーボンの楽器ということで、全然違う音が出るのかなと思ったのですが、発音が良くて音が出やすかったです。
今日は純粋に楽しんで弾くことができました。時間的にも曲のレベル的にもちょうど良かったです。これ以上難しい曲をじっくりと練習すると、弾けないストレスとかも出てきてしまいますからね」
●Tさん
「普段バイオリンとビオラを弾くので、5弦バイオリンにすごく興味がありました。1つの楽器で両方の役目ができるかなと思って。ただ弾いてみると弦の間隔が狭いので慣れるまで時間がかかりそうですね。あと、独特のデザインとかカラーなどは面白いなと思いました。白とか赤とか良いですよね。みんなで弾くときに目立たないようにするには木目を選ぶと思うので、クラシックよりはジャズとかポップスに合うのかもしれません。外での演奏もできますしね。
こういう会には初めて参加したのですが、楽しかったです。みんなすぐに仲良くなれるし、いろいろなところでいろいろな活動している方とお話しできるのはよかったです」
●Fさん
「オケ専♪のメールマガジンでこの企画を知り、mezzo-forteのホームページを見せていただいて、新しい楽器に興味が湧きました。中でも5弦バイオリンが体験できるということで、ぜひ参加してみたいと思いました。弾いてみるとやはり難しいところもあって、練習が必要だとは思いました。でもビオラやチェロのパートも弾けるのが面白かったし、楽器自体よく響くのがよかったです。
アンサンブルもとても楽しかったです。初めて一緒に弾く人ばかりなので来るまでは緊張していたのですが、来てみたら皆さん同じ趣味ということですぐに打ち解けられてよかったっですね」
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●Sさん
「普段はビオラを弾いているので、通常のバイオリンの大きさでC線もある5弦バイオリンがどんなものかという興味がありました。このC線の響きは良かったです。ただ、弾いてみると弓の角度が普段と違いますので右手が難しかったです。ビオラも弾きましたが、特にC線がよく鳴っていてびりびりと来る感じが良かったです。
楽器の体験という側面を除いても、こういう会は一緒にアンサンブルをする仲間を探すきっかけとしても良いなと思いました」
●Aさん
「素敵な企画をありがとうございました。ただ、個人的には楽器の体験とアンサンブル会と両方が詰め込まれていたので、もっと詳しく楽器に触れたいと思いました。私はオーケストラとか室内楽もやっていますけれど、フォルクローレとかハワイアンバンドもやっていて、外でライブをする機会も多いのですが、木の楽器は屋外では使いづらいじゃないですか。そういうときにmezzo-forteの楽器を使いたいと思ったし、ピックアップ付のHybrid Lineはそのままアンプにつなげるので最適だなと思っていました。
今、ある程度年齢を重ねてからバイオリンを始めるレイトスターターが増えていますが、そういう方にとってはこのmezzo-forteは良いと思うんです。弓の圧力を強くしても弱くしても、弾く位置を駒側にしても指板側にしても「ギーッ」という嫌な音が出にくい。それは上手な人には物足りないかもしれないけれど、初心者に向いている楽器だと思いました」
●Kさん
「普段からヴィオラを弾く人が少ないという悩みがあって、5弦ヴァイオリンに興味がありました。ただ、最初は弦を間違えますね(笑)。特にG線とD線の感覚が普通の楽器と違いました。
この会は、アンサンブルが好きな人が集まっているので雰囲気が良いですね。こういうイベントではみんな尻込みしてしまって盛り上がらないケースも多いのですが、今回はみんな積極的で良かったです。上手な人ばかり集まっているわけでないので、変な緊張感なしに気楽に弾けたかなと思います。僕としてはワインを用意していただいたのが特に嬉しかった(笑)」
●Mさん
「普段から5弦ヴァイオリンを使って、オーケストラで2ndヴァイオリンのパートやヴィオラのパートを弾いています。普通の木製で、ヴァイオリンより少し大きく、厚みはヴィオラくらいある楽器です。mezzo-forteのカーボン製の楽器はどうなのかなと思って来てみたのですが、音がよく出る印象でした。今日はヴィオラとか、普段弾かないチェロなども弾かせてもらって、楽しかったです」
●Mさん
「普段から弦楽アンサンブルはやっているのですが、違うところでもしてみたくて参加しました。初めてお会いした方ばかりでしたが、いろいろな方がいて面白かったです。mezzo-forteの楽器も普段はなかなか弾けない楽器なので、貴重な体験でした。音がはっきりしていて良かったのと、薄型のデザインになっているので弾きやすかったです。普通のヴァイオリンだと、厚すぎてちょっと弾きにくいなと感じていましたので。デザインとか色も斬新で良いと思いますが、クラシックのコンサートだとちょっと目立ちすぎるかもしれませんね(笑)。個人的には白い楽器がいいなと思いました」
●Hさん(参加者で唯一のチェリスト)
「白いチェロ、カッコイイですよね。2CELLOSが弾いているのと同じ楽器だと聞いてよけい嬉しくなってしまって(笑)。すごく弾きやすいですし、発音が良くて音もよく響くと思いました。チューニングも、アジャスターを使わなくてもペグで微調整ができるというのはやりやすかったです。
アンサンブルはこのくらいの小人数でやる機会があまりないのですが、今日はそれぞれの音を聴き合いながら弾けるのが良かったですね」
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