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心に届く音楽心理講座

行動を支配する音楽の力

私たちが何か物事を成し遂げるには「行動」が必要となる。成し遂げるといってもそんな大げさなことではない。散歩に出かけたり、テニスをしたりするといった身近なことと思って欲しい。
では、「行動」を起こすエネルギーはどこから来るのか。それは、「感情」である。反射のような本能的な動作を除き私たちは「感情」が先にあて行動を起こす。テニスをするにせよ、散歩に出かけるにせよ、「行こう」という感情がなければ行動は起きないのだ。

人間は、怠け癖があってやらなくてはならないと思っていてもできないことが多々ある。毎日、1時間ピアノを練習すれば数ヶ月後にはあこがれの曲が弾けると分かっていても実際には続かない。毎日ブログを更新していれば、取材が来るかもしれない、アクセス数がアップするとわかっていてもなかなか続かないもの。その行動を阻む最大の敵は自らの「感情」である。人間は「感情」をもとに行動する。「感情」は動作、知覚、記憶、学習、意志決定など人間のほとんどすべての行動に関わる重要なもの。日々あなたの脳の中で起きているモヤモヤが行動を支配しているのです。

では、感情はどこで生まれるのか。それは「脳」である。脳が健康な状態を保っていれば、快の気持ちが生まれ行動も前向きになっていく。でも、脳が不快な状態であれば行動も生まれず、いわゆる鬱状態を招く。であれば、いつも脳が快の状態にあればいいのだけれど、人間そうもいかないのが常である。会社で嫌な上司の相手もしなければならないし、恋人ともケンカする。家に帰れば、子どもやローンの悩みも降ってくる。なかなか、脳を快の状態に保つのは大変なことだ。
普段何気なく生活しているなかで、私たちはあらゆる場面で音や音楽の刺激によって感情が揺り動かされている。街を歩いていて、突然クラクションがなれば否応なしに身体が反応し、ストレスホルモンが分泌される。反対に、自然溢れる場所で川のせせらぎや鳥のさえずりを聴いていると自然とリラックスしてくる。普段から自然の音に触れることができればよいのだが、現代の環境を考えると悲しいかなそれも難しい。

川のせせらぎ

そこで、取り入れたいのが音楽である。好きな音楽を聴いていると、大脳辺縁系といういわゆる「古い脳」が反応することが分かっている。
大脳辺縁系とは、人間の進化の証とも言える大脳新皮質の内側に存在する組織のことで脳の中でもとくに原始的な部位である。人間が生きていく上で基本的な機能である喜びや怒りなどの感情や、攻撃、食事、空腹、睡眠、逃走、性行為などの行動を支配している。爬虫類にも存在するくらいだから、これらの器官が人間の基本的な行動や感情をコントロールしているというのはよく分かる。

好きな音楽を聴いていると、この大脳辺縁系領域からいわゆる脳内麻薬物質と言われるドーパミンやβエンドルフィンが分泌される。おいしいものを食べて気持ち良くなるなど、性行為や睡眠の多幸感はこの脳内麻薬物質によるものだ。ドーパミンやβエンドルフィン、セロトニンなどは人の気分を快にして感情をコントロールするという大事な役割を果たしている。感情をコントロールするということは、すなわち「行動」を決定することになるというわけである。

好きな音楽を聴いたときの気持ち良さは食事や性行動、睡眠や薬物依存と同じ。音楽を聴いて気持ち良くなるのは、側坐核と言われる場所の活動が高まり、ドーパミンの分泌量が増えるから。音楽を聴いたときの感情が大脳辺縁系という生存に関わる部分で処理され、性行為や食事といった生きていく上で極めて大切なことと同じであるということは興味深い事実といえる。
ドーパミンはオピオイド系の伝達物質と言われているもので、脳がより快感を求めようとする「報酬行動」に影響を与えている。音楽を聴いて没頭しているときのいわゆるフロー状態は、まさにこれらの脳内麻薬物質が関係しているもの。音楽を聴くだけで、脳の底から気持ち良くなって前向きな感情が生まれるのだからこの効果はもっと注目されても良いと思う。

毎日、リラックスできる時間に自分のお気に入りの音楽を聴くということは、夢や目標を実現するということにおいて、良い効果を期待できる。お風呂上がりに、目をつむりながら将来こうなりたい、という姿をイメージして大好きなバッハを聴く。それを続けるだけで、日々の感情が前向きになり、たとえストレスを抱えているときだってマイナスからゼロ方向へ感情を戻してくれる。

音楽には行動のエネルギーレベルを高める効果がある。
セルフセラピーとして好きな音楽を生活により多く取り入れることは人生を幸せに導いてくれるだろう。