• 楽団&演奏家(オケ・アンサンブル・独奏・吹奏楽・合唱団・オペラ)
  • 演奏会検索
  • メンバー・団員募集
  • おしゃべり広場&コミュニティ
  • みんなの練習帳
  • アンサンブルファン!
心に届く音楽心理講座

バッハモードのすすめ

今回は「バッハモード」を推奨するお話ですが、まったくの個人的なおすすめ聴取法ですので飛ばしていただいても構いません。でも、できれば読んでみてください。
モーツァルト効果という言葉を知ってからか、私の中にはバッハモードという状態を意識するようになりました。バッハモードという言葉は私の造語ですが、脳が冴えている状態を指します。

バッハを聴いたときにその状態を作れるのが分かってから、必ずクリエイティブな作業をするときにはバッハを流すことにしています。もちろんバッハの音楽といっても溢れるほどあるわけですから、全部とはいいませんが概ねピアノで弾くような曲であればいいでしょう。

バッハの音楽は多声音楽といって、いくつもの旋律が複雑に合わさってそれぞれがときに主張し、ときに解け合いながら作り上げられています。ショパンのノクターンのような左手の伴奏に乗って、右手でメロディーを弾くというスタイルではありません。右手左手という概念もなく、あくまで複数の旋律の流れです。それをたまたま左手で弾くか、右手で弾くか、そういうことです。

多声音楽の最終形はフーガという形式なのですがこのフーガを聴いていると、自然と脳の中が整理される感覚になります。ごちゃごちゃになっている頭の中を、ピシッと正されるようなそんな感じです。

多声音楽だとあらゆる旋律が聴こえてきます。

「あ、今はテノールがテーマ。お、今度はバスからか。」という風に、聴くときにも頭を使うのです。聖徳太子のように複数の会話を同時に聞いて理解することは難しいでしょうが、複数の旋律を同時に聴くことはできます。集中して聴いていると、自然に雑念が消え他の作業にも集中できる状態が出来上がるのです。

これは、一度体験するとはまりますのでぜひ試してみてください。ただし、バッハがどうしても昔の彼女の思い出と結びついて悲しくなるという方はバッハはやめましょう。さらに、バッハというと、「ちゃらりー鼻から牛乳~」のイメージが強くて、昔鼻から牛乳を出したことを思い出してしまうという方もバッハモードにはなれませんので、やめておきましょう。

何の根拠もなくバッハモードを推奨しているわけではありません。
BGMの概念から考えてみると、しっかりと筋が通っています。

まず、バッハの音楽は音量の差が少ないということ。
バッハの時代には今のようなピアノはなかったわけですから、音量の差は基本的にはつけることができなかったのです。音楽的にも音量のダイナミクスは重要視されていませんので、BGMには最適です。いきなり大きくなったり、小さすぎてきこえなかったりする曲はBGMとしては適していません。

次に、音域が広くないということ。
高音のきらびやかさや低音の迫力はありませんが、それがかえって集中するにはいいわけです。現代ピアノの鍵盤をフルに使ったようなリストやショパンの激しい曲はBGMにはあまり適していないといって良いでしょう。

最後にテンポが一定ということもポイントです。
ショパンのピアノ曲のようにテンポを揺らしたり、メロディーを自由に歌ったりということはバッハでは基本的にはありません。(もちろんそのような曲もあります)

無いというとそれはそれで誤解を生んでしまいそうですが、基本的にはしっかりとテンポを守って無駄に揺らすことはしません。これが、BGMとして使った場合にとても都合が良いのです。何かの作業をしながら聴く音楽というのは刺激が強くてはいけません。

音量に変化があったり、高音、低音が激しく交錯したり、テンポがランダムに揺れてしまったりという音楽だと、それに気を取られてしまい本来の作業に集中することができません。あとは、ボーカル入りのもあまりおすすめできません。特に日本語の歌だとメッセージ性が強く、効率的な作業には適さないでしょう。
以上のような理由から、集中して何かをしないといけないというときにはバッハがおすすめです。さらにバッハの持つ「崇高・荘厳・畏敬・壮大」というようなイメージと相まって、なかなか気分も良いものです。

まずは、「フランス組曲」「イギリス組曲」「パルティータ」のようなピアノ曲から聴いてみるといいでしょう。私の個人的な集中音楽はバッハの多声音楽の集大成ともいえる「フーガの技法」です。
ここまでくるとかなりマニアックな世界ですので、お気をつけください。

自分なりの集中できる音楽というものを持っておくと、作業効率も上がりますし、良いアイデアも生まれてくるものです。
あなたのレパートリーにぜひバッハを入れていただければ幸いです。