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心に届く音楽心理講座

ファッションを楽しむように音楽を選ぶ

以前にも少しお話しましたが、「音楽の能力」というのは、二つあります。
一つ目は音楽を演奏したり作曲したり、いわゆる音楽を造り上げていく能力。
二つ目は音楽を聴いて楽しむ能力。

音楽を演奏したり作曲したりすることは一部の才能のある人や音楽大学で専門の勉強をした人が習得できる能力ですが、音楽を聴いて楽しむ能力というのは誰にでも備わっています。
私たちの脳には音楽を聴いて感情を発する場所があり、楽しい音楽を聴けば楽しい気分になるし、悲しい音楽を聴けば悲しくなります。
これは人間に備わった立派な能力であり、実は普段の生活の中でも無意識のうちにその能力を使っています。
会社で嫌なことがあったとき、恋人に振られて悲嘆に暮れていたとき、ストレス発散したいときなど私たちは無意識のうちに音楽を求め、そして浄化してるのです。
これは、音楽を感じて感情をコントロールできるという立派な能力なのです。
作曲や演奏はできないけれども、聴くことならできる。音楽とは聴くだけで、ストレスを軽減し、脳の状態を快に保つことができる副作用のないクスリです。
いくら聴いても害はありません。どんどん、良い音楽を聴いて脳を活性化させていきましょう。

音楽の好き、嫌いは何に左右されると思いますか?
理由はたくさん考えられますが、今まで育ってきた環境、家族の影響、出会ってきた人の影響などが大きいでしょう。
私が大学時代に感じたことは、音楽の学生はクラシック趣向がとても強いということ。音大に行くような人は小さい頃から音楽教育を受けてきており、そのほとんどがクラシック音楽です。そして、大学でもクラシック音楽の勉強がほとんど。
中には、極端な学生もいて、「クラシック音楽以外はほとんど知らないし、音楽と認められない」という人も。なかなかすごい発言ですが、要するに音楽の嗜好が育ってきた環境にかなり影響を受けるということは間違いなさそうです。そして、今の自分のアイデンティティの象徴としても「好きな音楽」というのは存在します。
バッハが好きで聴いているという人は、周りへのメッセージとして「私は崇高なバッハの音楽を聴くような人物」というものが出来上がっており、ロックを好きで聴く人は音楽に応じたイメージを周りに発信していることになります。これは、どんな音楽が優れているかということではなく、音楽のイメージと自分というイメージを重ねているという、アイデンティティの一つとしての表れということです。
ということは聴く音楽を変えてみると、今までと違った自分が発見できるということです。
クラシック音楽しか聴いてこなかった人には、ノリノリのロックやヒップホップを聴いてみたり、逆にクラシック音楽なんて堅苦しくて聴いたこともないという人にはぜひバッハやショパン、モーツァルトの名曲を聴いて欲しいなと思います。
音楽はファッションとも似ています。
ジーパンにTシャツというスタイルをずっと通してきた人が、スーツに変わった途端になんだか振る舞いも変わったり、ネクタイをちょっと派手なものに変えただけで、気分がガラッと変わったり。
私は、休みの日に家でごろごろしないようになるべくピシッとアイロンがかかっているシャツに着替えます。こうすることで、気持ちがシャキッとして背筋が伸びる感じがします。いいアイデアも浮かんできそうです。
音楽もこんな風に、ファッションを楽しむように選んでみてはいかがでしょうか。
新しい音楽との出会いは、自分の感性や引き出しを広げてくれます。今まで聴いたことがない音楽から得られる感動は、言葉には言い表せないほど高次なレベルの体験です。それに、ファッションと比べてお金もかかりません。CD代はおろか、今ならインターネット上で無料の動画も見られます。そこからお気に入りの音楽を探して、より深く聴いてみるものいいでしょう。好きな音楽が増えれば、そこにまた感動がひとつ増えることになります。第1章でも書いたとおり、音楽は感情を動かします。そして、感情は記憶・学習・意志決定などに関わっています。音楽の幅が広がれば、いままでとは違った見方ができ、発想が広がることだってあるのです。
ぜひ、あなたの音楽のファッションを新しくして、感性の幅を広げていってください。
音楽は豊かな感情の源泉なのですから。